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大阪家庭裁判所 昭和46年(少)9092号 決定

少年 M・I(昭二九・九・三〇生)

M・Z(昭二九・四・二一生)

G・N(昭三一・八・二八生)

Y・N(昭二九・四・二九生)

主文

各少年につき、いずれも本件に基づく審判を開始しない。

理由

当裁判所において検察官作成の各送致書(そこで引用されている司法警察員作成の少年事件送付書)の検討・一件記録の検討・検察官に対する求釈明・調査官による各少年からの事情聴取などを行なうも、各少年につき具体的に如何なる内容の過失(注意義務違反)があつたというべきなのかが明確でないなど本件送致事実(別紙記載)に関する非行の成否がいまなお定かでない(その点を確定するためには、今後かなり広汎で困難な証拠調なども実施しなければならない)実情にあるが、現在までの調査によるも各少年ともその日常生活上に特別の問題点がみられないなど要保護性のないことがほぼ確実に見込まれる現況にあるので、対象少年の健全な保護育成を期していくべき家庭裁判所としては、これ以上調査を継続したり審判を開始したりすることなく現時点において終局処分の実現をはかることが相当であると思料される。

(なお、送致機関側の各少年の処遇に関する意見も「然るべく」〈検察官〉ないしは「不処分」〈司法警察員〉である)。

よつて、少年法一九条一項を適用のうえ、主文のとおり決定する。

(裁判官 栗原宏武)

(別紙)

各少年の本件送致事実

各少年は、昭和四六年六月五日午後八時三〇分ごろから同日午後一〇時ごろまでの間、大阪市福島区○○○○×丁目×××番地○本○夫方製本工場内において、ボクシングの練習をするに際して相当な注意を怠たり、○崎○則(一六歳)に対して同月一八日入院・同月二二日手術・以後約二か月間の安静治療を要する頭部外傷・急性硬膜下血腫なる傷害を与えたものである。

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